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H氏との突然の別れ

 投稿者:能彦  投稿日:2004年 8月11日(水)07時36分30秒
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   一昨日、突然にご恩のある方の死に直面した。
 仕事の関係の団体に電話して、その団体の事務局長さんと話をしようとしていた。事務局長さんからは電車に乗っているときに仕事のことで電話を受けたので、「車中だから。。」と断ってそのまま電車を乗り継ぎ、事務所に帰ってから電話をかけ、いつも私は少し早口だからと思ってゆっくりとした口調で話し始めようとしたら、突然電話を遮られ、
「小林さん、今、ゆっくり話している時間はないのです。あなたもご存知のH先生がお亡くなりになったという連絡が入ったんです。」
と言われた。私は、その名前を聞いた瞬間に激しいショックを受けた。
 
 その方とは4年前に私が退職してこの業界に入ってから、団体の同じ支部だということでご薫陶を得るようになった。その後、いろいろなお付き合いやご指導をいただいて信頼を得、私も敬愛するようになっていた。年齢はといえば、私とは一回りも違うから程なく80歳になるはずだった。
 生前、私も勤めたこともある役所で、かなり重要な役職を務められた方だったが、同業団体に属されてからは随分と気さくに皆さんと交わっておられたようで、若輩の私もその余慶を受けたといえるかもしれない。
 その方が、どうしたわけか私を見込んでくださり、仕事の上でも貴重なアドバイスをいただいたり、私の事務所の今後のことについてもご懇篤な指針をいただいたりした。

 この方と同じような方が前にもお一人おられた。その方は、なぜか十数年前から音信普通となり、いくつかのルートを辿ってご連絡しようとしたが果たせなかった。どうも世捨て人になられたのではないかという話さえあった。
 しかし、それはともかく、その方とH氏とは、私にしてみれば妙に似たところがあり、どういう理由によるかは分からないが、初対面にも近いような私に眼を掛けてくださった。前の方を仮にK氏とすれば、K氏は私が社会人として巣立った20代の時の出会いであり、H氏は、私が役所を辞めて巷間いわれる第二の人生に旅立ったときである。
考えてみれば私はK氏のお陰で今日があるようなものだ。そしてまた、H氏のお陰で新しい出発ができるようなところがある。

 今こうしてH氏との別離の時に至って考えてみると、お二人とも私との出会いの最初に瞬時に、私は知らない私の何かを見つけてくれたのだと思う。そうでもなければ、それまで存在も知らず、また才知も財産もない私がお二人に目を掛けられることはなかった筈だ。
 その、私の知らない私の中の良さを探すために、私はまた今までのように懸命に生きて生きたいと思う。おそらくそれが私のH氏に対する最大の恩返しではないかと思う。

  H氏には先々週の金曜日の団体の会合でお会いし、その後、タクシーで自宅までお送りいただいて、自宅前で「奥さんによろしく。」とお話になられたのが最後となった。しかも今日の正午からの告別式が永遠の別れとなる。ご冥福を祈りたい。
                                     合掌
 
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